募集概要

岩手県九戸村で、伝統工芸として継承され、世界から愛される南部箒の職人、事業継承者を募集します。既に全国にファンを持つ、南部箒の未来を一緒に創造できる非常に貴重なチャンスです。

九戸村はこんなところです

 

九戸村は、岩手県北上山系の最北端、面積134㎢、その70%以上を山林原野で占める農山村です。

移ろう季節の美しさ、風光明媚な景色が自慢です。

春の雑木林には多種多様な草花や山菜が芽吹き、夏には100万匹とも言われるヒメボタルの大群生が折爪岳を彩ります。

実りの秋には四方八方の山々が美しく紅葉し、村の産直施設では収穫祭が開かれ、

冬にはスキーやかんじき体験などの雪遊びが楽しめます。

九戸の美しさは、歴史と住民の精神性にも裏打ちされています。

 

飢饉が頻発した江戸時代、岩手の県北でも多くの犠牲者を出しましたが、九戸村では一人も餓死者が発生しませんでした。

その理由は、生活の知恵として、一般的には食用ではなかったもの(百合の根・どんぐりなど)の扱いを知っていたこと、その知識を広く知らしめることで、一人でも犠牲者をなくそうという共助の精神が、九戸の人々の根底にあったことにあります。

 

自然と人間との共存、自然から授けられる知恵を脈々と受け継いできたことで生まれた造形の美しさは、

九戸にしか出せない味となって現在も人々を魅了します。

 

また、かつて戦国時代最後の戦いとして豊臣秀吉と戦った戦国の英傑、九戸政實公ゆかりの九戸神社や首塚などの史跡も数多く残っています。

天下統一を目論む秀吉の軍勢65,000人に対し、5000人で決起した政實のように、

自らの行く末は自らで決める、という力強い精神性と気風が今も九戸の人々の魂に根付いています。

 

豊かな森、世界屈指の生産量を誇る甘茶、風土に根付いた伝統工芸、

今も受け継がれる郷土芸能など、豊かな農村資源、文化・伝承に恵まれ、

自然との共生の中で暮らしを作り上げてきた、そんな村です。

 

自然と共に逞しく生きる、魅力的な事業、人々が確かに九戸を支える一方で、

人口減少や地域交流の鈍化に伴い、古来より醸成されてきた文化や精神の灯火が弱りつつあります。

世界に誇れる九戸村の情景を未来へ残していくために、

今できることを一緒に考え、共に創り上げてくれる仲間を募集いたします。

高倉工芸の南部箒って?

高倉工芸は、農業の閑散期の副収入源であった箒作りを、先代・高倉徳三郎が九戸の文化・伝承を後世に引き継いでいくために産業として確立したことに始まります。

 

南部箒の最大の特徴は、九戸の冷涼な気候と、海から吹く山背(やませ)によって生まれる「ホウキモロコシ(箒の原料)」の強い縮れです。この縮れによって埃やゴミを舞い上げずに絡め取ります。絨毯など使用環境によっては、サイクロン式掃除機などよりも、キレイに掃き出すことが可能です。

 

乾燥工程を経たホウキモロコシ、強い縮れが特徴

 

高倉工芸の南部箒は、既に全国でも根強いファンを持っています。

1本数万円~と、決して安価ではありませんが、一度手に取ると実感できる確かな品質、デザインの美しさ、丁寧に扱えば20年、30年と活躍する南部箒に魅了される人々からの圧倒的な支持を得ています。

 

生活必需品でありながら同時に、「そうじの時間が豊な時間になる」、「暮らしに彩りを与えてくれる」嗜好品とも言えます。

 

南部箒が世に出るまでの過程にも、この伝統工芸を後世に伝えていくべき理由があります。

「ホウキモロコシ」の生育は山のふもとで行われるため、山や水、土壌の健全性が保たれている必要があります。

また、南部箒の原材料には、箒を縛る糸に至るまで、農薬や化学肥料を使っておらず、すべて土に還すことができることも特徴です。

 

苗付けから手作業での収穫、乾燥、編み上げから役目を終えた箒の行く末まで、自然の循環に則って作られる、まさに自然と共に作る芸術品です。

高倉工芸の事業継承

高倉工芸の南部箒は、1本1本すべて手作業で作られています。精巧で美しいデザイン性と、何十年に渡って使い続けることができる品質には、職人の技術と知恵が詰まっています。

高倉工芸では、この技術を次世代に確実に繋げるべく、事業の担い手を募集しております。

 

 

職人として技術を極めることはもちろんですが、現在既に敷いている全国百貨店、催事等での販売網に加え、より幅広い層への販路開拓、認知度の向上、新しい商品開発も目指しております。

また、ヨーロッパ、中東などの地域でも現地の気候や風土に合わせたニーズを開拓しており、世界に向けても南部箒の可能性を拡大していくフェーズにあります。

 

そのほか、ホウキモロコシの栽培・農業用機械を用いての農作業や、箒の柄を切り出す木工なども制作の中での重要な要素です。

 

農業→製造→販売→経営まで一貫した知識や経験を身に着けることができます。

 

伝統工芸の技術を極めること

経営思想を学ぶこと

自然の循環を体現すること

 

高倉工芸の南部箒は様々な可能性に満ちており、この事業を次世代に継承するべく、現体制と共に走ってくれる方をお迎えしたいと思っております。

高倉工芸代表者について

現代表・高倉清勝

先代・高倉徳三郎の作り上げた確かな技術を基盤とし、南部箒をさらに若い世代にも親しみやすい暮らしの道具へと昇華させてきました。

興味を持って頂けるお客様のために、オーガニック、カラフルな色合いなど、現代の暮らしにも馴染む箒作りにこだわっています。

日本のみならず、世界でも評価される箒であるために、ヨーロッパなどでの販売促進にも力を入れ始めています。

募集要項

募集内容

地域工芸品の技術伝承活動

主に上記の業務を想定していますが、本人の関心が高い分野があれば、面談のうえ、本人の希望を優先いたします(複数の分野にまたがっても可能です)。

 

募集人数

3名以上

採用・活動開始予定時期

令和3年4月1日

募集対象者

(1)令和3年3月31日時点で18歳以上の方

(2)九戸村に居住し、住民票の異動ができる方

(3)現在、過疎地域(過疎地域自立促進特別措置法に指定された過疎及びみなし過疎、一部過疎の地域)に居住していない方 ※総務省HP参照

(4)普通自動車運転免許を有する方(AT限定可)

(5)日頃からパソコン、スマートフォンを使用している方

(6)九戸村民と協力して、地域を元気にできる意欲的な方

勤務・雇用条件

(1)雇用関係の有無 有

(2)主たる勤務場所 九戸村内(九戸村役場又は公共的施設)

(3)雇用形態・期間 九戸村会計年度任用職員として村が雇用(1年契約とし3年を限度とする。)

(4)勤務日・勤務時間 原則週5日 8:30~17:15(昼休憩1時間)

ただし、業務により、土日祝日勤務又は夕方以降の勤務もあります。

(その場合、振替休日又は振替時間休取得となります。)

給与及び福利厚生

(1)報酬月額 188,700円(賞与年2回)※昇給なし

(2)社会保険 健康保険、厚生年金、雇用保険加入

(3)住居   村が用意しています。ただし、自らの負担でその他の住宅を探しても構いません。

(4)活動車両 任期中、軽自動車又は軽トラックを村が用意します(生活に必要最低限での私事使用可)。

(5)兼業従事 地域おこし協力隊員としての業務の延長である場合、又は著しく業務の支障をきたさない場合に限り兼業を認めます。

申込方法・申込〆切

(1)次の申込書類を提出のこと。

①九戸村地域おこし協力隊応募用紙(別紙)

②作文「地域おこし協力隊として取り組みたいこと」(任意様式400字以上)

(2)書類提出先は、次のとおり

〒028-6502

九戸村伊保内10-11-6

九戸村役場 総務企画課 宛

(3)書類提出の締切は、令和3年2月8日(月)とし、当日必着のこと。

選考審査及び採用方法

(1)書類審査により、1次選考通過者を決定し通知します。

(2)1次選考通過者を対象に、おおむね次の日程で面談を行います。

(3)面談は九戸村内で行うこととし、住居地から九戸村までの往復交通費及び宿泊費は、実費で村が支給します。なお、事情により、どうしても来村できない場合は、オンラインで面談を行うことがあります。

(4)上記の面談を踏まえ、採用の可否及び業務内容を決定し、通知します。

着任方法

(1)着任に係る引っ越し費用(着任交通費、引っ越し代金、備品購入費)は、20万円を限度に村が経費を補てんします。

(2)令和3年4月1日に辞令交付式を行う予定ですので、前日までに引っ越し等を完了してください。

お問合せ先

九戸村総務企画課 電話0195-42-2111 内線171・172(担当:関口)

伴走者

広島経済大学にて准教授を務め、現在は九戸村在住、南部箒の歴史と手仕事を次世代に残そうと自らも職人として高倉工芸支えている、柾本伸悦がサポートいたします。