特別講座の位置づけ
2021年の地球のしごと大學「教養学部」は、終息しない新型感染症の影響を鑑み、例年実施している年間30-40の連続講座は残念ながら中止とさせていただきます。
代わりに「特別講座」として「オンライン単発講座」と「フィールドワーク単発講座」を複数回実施します。
本年はより多くの方に門戸を開き、通常単発では実施していない講座を気軽に受講いただけるチャンスとなりますのでこれを機にぜひお試し受講ください。
受講いただく皆様にとって、これからの「生きる」と「しごと」を創るための何かしらの手掛かりになれば幸いです。
こんな内容の講座です
人生の長い時間を費やす仕事や労働。
仕事や労働の在りようは、その人間の幸福度に密接に関わります。我々は、仕事や労働とは何か?について考えたことがあるでしょうか?
稼ぐため、生活していくためだけに、仕事や労働を強いられている面はないでしょうか?
経済第一優先の労働観を越えるためのヒントは、内山氏の語る「温かい貨幣と冷たい貨幣」「劣化する貨幣」などにあるかもしれません。
日本の農山漁村での仕事や労働に対する考え方、価値観を紐解きつつ、貨幣とは何なのか?
日本の民衆が持っていた仕事観・労働観、そして対価としての金銭との関係性とはどのようなものか?
「おすそ分け」 の贈与経済から、近年注目されているソーシャルビジネスまで、私たちが未来に求めるべき仕事の在りようについて考えます。
講座レジュメ
1.はじめに
―近代における労働の変容・・関係と共にある労働から自己実現型労働へ
2.伝統社会の労働を支えていた三つの関係
―自然との関係をとおして労働は成立している
―人々との関係をとおして労働は成立している
―死者=亡くなった先輩たちとの関係をとおして労働は成立している
―実際にはこの三つの関係のなかに労働はあった
3.関係と共にある労働、生活のための手段としての労働
―この二つの労働は伝統社会のなかにもあった
―私の村=群馬県上野村では関係と共にある労働を「仕事」と呼び、生活の手段と
しての労働を「稼ぎ」と呼んできた
―稼ぎも大事、しかし仕事はもっと大事
―仕事と稼ぎのバランスをうまくとっていくのが人間の知恵という考え方
4.伝統社会の社会観と労働
―自然と生者と死者の社会
―自然との関係が社会をつくり、人間同士の関係が社会をつくる、とともに死者と
の関係が社会をつくっている、という考え方
―この関係のなかでの働きが労働であった
―ゆえに労働は社会と一体のものだった
5.道具としての貨幣、支配者としての貨幣
―交換の道具としての貨幣
―貨幣を目的として労働する人の登場
―貨幣を目的にし、貨幣に支配される時代
6.現代における貨幣と労働
―貨幣を単純な交換財に戻したいと思う人たちの登場
―関係のなかの貨幣=温かいお金、支配権力としての貨幣=冷たいお金
―温かいお金の使い方ができる関係をつくる
―それは貨幣の伝統回帰ではないのか
7.未来のヒントを過去からもらう時代
―社会の本質も人間の本質も関係のなかにあるという精神
―この関係が人々の労働をつくり、お金に制約をかけ、社会をつくった
―関係本質論と日本の仏教
8.まとめに代えて
―個人欲望の時代をへて、いま私たちはどこに向かおうとしているのか
こんな方にオススメです
- 地方移住(Uターン、Iターン)や複数拠点の生活を考えている方
- 地域おこし協力隊などで既に農山漁村へ飛び込んでいるが、行き詰まりを感じている方
- 今すぐに地方移住(Uターン、Iターン)や複数拠点の生活をするつもりはないが、都会的な生活に違和感を感じている方
講座概要
日時
2021年7月3日(土)14:00~17:00
場所
オンライン(Zoom)
受講料
2,000円
定員
50名
お申込み
受付終了いたしました
募集締め切り
2021年6月30日(水)
主催
NPO法人地球のしごと大學
参考書籍
『半市場経済 成長だけでない「共創社会」の時代』 著者:内山節(角川新書)
『戦争という仕事』 著者:内山節(信濃毎日新聞社)
プログラム
13:45~14:00
開場
14:00〜14:15
本講座の趣旨説明(地球のしごと大學 代表 高浜大介)
14:15〜15:30
内山節先生 講義「農山漁村の民衆精神 ~仕事観・労働観~」
15:30〜15:40
休憩
15:40〜16:10
コロナ禍を経験した私たちの仕事はどう変わるのか?~内山節さんに代表高浜から特別インタビュー〜
16:10〜16:55
グループディスカッション・質疑応答
17:00
終了
講師
内山 節 (うちやま たかし)
哲学者
哲学者。立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授(2015年定年にて退任)。特定非営利活動法人森づくりフォーラム代表理事。
1950年、東京生まれ。1970年代から東京と群馬県上野村の二地域を往復する生活を営み、自ら畑を耕し、里山に囲まれた農村の暮らしを通して、自然と労働の思想を問い続ける実践的な哲学者として知られている。
自然論・労働論・共同体論などを専門とし、立教大学大学院教授、東京大学講師などを歴任。東北農家の会、九州農家の会などでも講師を務める。
主な著書に「ローカリズム原論」「文明の災禍」「共同体基礎理論」「清浄なる精神」「里という思想」「自然と労働」「日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか」などがある。
インタビュアー
高浜 大介 (たかはま だいすけ)
NPO法人地球のしごと大學 代表理事
1979年生まれ。東京墨田区出身。岩手県田野畑村在住。
NPO法人地球のしごと大學 理事長
株式会社アースカラー 代表取締役社長
一般社団法人燈 代表理事
立教大学観光学部卒。大手国際物流企業、人事・教育ベンチャー企業勤務後、2010年に地球・大地に根ざした職業人「アースカラー」の育成・輩出を手掛ける株式会社アースカラーを設立。
また、千葉県佐倉市にて約1ヘクタールの田畑にて無農薬・無化学肥料のお米作りや大豆作り、農業体験などを主とする教育農場も展開(2018年に地球のしごと大學卒業生へ委譲)。2018年、岩手県田野畑村へ家族で移住。
田野畑村と高浜大介の2者にてむらづくり合弁会社、一般社団法人燈(ともしび)を創業。都心からの移住希望者の受け皿を作り、地域と協調してサステナブルな地域社会経済のモデル創りを過疎地から挑戦中。2女の父。
講座担当
NPO法人地球のしごと大學
佐々木 亮(ささき りょう)